平成28年度から、むなかた地域の医療と介護の連携を効果的にすすめるため、在宅医療・介護における現状の把握と課題の抽出、対応策等の検討を行うことを目的として、宗像市と福津市の委託事業による「宗像市・福津市在宅医療・介護連携推進事業 多職種連携会議」が設置されました。
委員は、在宅医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員、訪問看護、訪問介護、訪問リハビリ、地域医療連携室、通所介護、保健所、地域包括支援センター、総勢15名で構成されています。
これまでの主な取り組み
平成28年度 |
多職種連携会議の中で多職種間における在宅医療・介護連携上の課題の抽出と解決策の検討を実施 |
平成29年度 |
課題に対する具体的解決策
- 「サービス担当者会議に伴う留意事項」の作成、運用開始
- 「多職種連携ツール」の作成
(「多職種連携ツール作成ワーキンググループ」にて作成)
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平成30年度 |
ツール運用開始 |
令和元年度 |
実際の活用状況等に関するアンケート調査を実施 |
令和2年度 |
ツール見直し、改訂
【主な改訂点】
- ツールを活用する多職種・関係事業所の拡大
・「訪問診療を行っている医師」から「医師」に変更
・「地域医療連携室」を追加
- EXCEL[様式 ]に直接入力しやすいように修正
・基本情報入力フォーム追加
- 実際の活用例の追加
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令和3年度 |
多職種連携会議開催ごとにテーマを設け、現状の情報共有・課題整理を行う。
課題整理ができたものは、次の展開に繋いでいく。 |
「サービス担当者会議に伴う留意事項」について
この留意事項を、サービス提供等に関わる医療と介護の多職種全体で共有し有効に活用することで、サービス担当者会議の質を向上、支援者間の連携不足の解消、多職種の相互理解・チームの信頼関係の強化を図ります。
サービス担当者会議に伴う留意事項
「むなかた地域 多職種連携ツール」について
在宅療養生活を支えるために、地域の医療と介護に関する多職種の相談・情報提供・情報共有が円滑に進み、それぞれの役割を発揮するためのひとつの連携ツールとして活用をお願いいたします。
このツールを活用する多職種・関係事業所
医師・歯科医師・薬剤師・介護支援専門員・地域医療連携室
介護保険サービス事業所(訪問看護・訪問介護・訪問リハビリ・通所介護・通所リハビリ・施設)、地域包括支援センター等
各ツールのご案内
多職種連絡シート
趣旨
各職種が情報収集・情報提供する際の双方向の情報発信、返信用として活用することで、多職種間のより効果的な連携をはかります。
連絡シートの対象者
宗像市・福津市在住で、在宅等において医療サービスや介護保険サービスを利用している方
内容
使用上の留意点
- 使用方法はFAX・メール等、臨機応変に活用しましょう。
誤送信には細心の注意を払いましょう。
※EXCELシートに直接入力する際は、基本情報入力フォームから、本人情報、送信元、受信先を入力するとシートに反映されます。ぜひご活用ください。
様式ダウンロード
- ご本人・ご家族の同意確認をチェックする欄があります。
各サービス事業所等で、個人情報の同意書は事前にとっていると思いますが、ご家族やご本人の同意を得て、シートを活用しましょう。
- 氏名を記入する際は、個人情報保護に配慮しましょう。(例:山● 太●)
- 送信者・受信者の関係性を保ちましょう。
例えば、送信者の許可なく受信した情報を、第三者へコピー等で転用しないように気をつけましょう。
- この様式のみで不足する場合は、各自の様式または電話等の適切な方法で補足しましょう。
在宅用共有ファイル
趣旨
関わっている多職種が、在宅で医療サービスや介護保険サービスを利用しながら生活している方の情報や経過を、把握・共有するためにファイル化します。
連絡シートの対象者
宗像市・福津市在住の方で、支援についての情報共有が必要な方
内容
必要な情報をファイルにまとめて保管(利用者宅に保管場所は決めて、関係者で共有する)
記入例を参考にご活用ください。
使用上の留意点
- ファイル使用にあたり、ご本人やご家族に同意を得ましょう。
- 最新の情報が維持されるようこころがけましょう。
- 対象者の緊急時の連絡・対応方法を明確にし、サービス担当者会議等を利用して関係職種間で共有しておきましょう。
- ご本人等の個人情報が含まれるため、ファイルの取り扱いには十分に注意を払いましょう。
- 関係職種は、訪問時、記録に目を通し情報を得てから支援やケアにあたりましょう。通所系サービス事業所においては、できる範囲で情報を共有するように努めましょう。
その他
- 在宅用共用ファイル活用の際、様式を綴るファイルが必要な際は、在宅医療連携拠点事業室で配布いたします。ご利用の際はご連絡ください。
- このシートは一つの連携ツールとして利用するもので、他の様式の使用を妨げるものではありません。
過去の取り組み
- 令和3年度の取り組み
コロナ禍において、新たな課題がないか等の現状を把握するため、アンケート方式で意見を出し合いました。
その中の意見を5つに分類分けし、情報共有・課題整理を行いました。
- コロナ禍でサービスを利用できなくなった利用者への支援
- コロナ禍による情報共有の困難さ、情報共有のデジタル化
- 緊急災害への対応
- 認知症の方への支援、服薬管理
- 介護支援専門員への負担
- 5つの課題について情報共有したことや整理できたこと(一部紹介)
- コロナ禍でサービスを利用できなくなった利用者への支援
主介護者が陽性、濃厚接触者になり、主介護者に代わる人がいない場合の対応の困難さ。サービスが入っていない場合は、その段階でサービス調整することは難しい状況。一つの事業所のみの対応では困難。
→市独自の支援策の有無について確認、また独自の仕組みづくりに繋がるよう、現状を行政に伝え状況を知ってもらう。
- コロナ禍による情報共有の困難さ、情報共有のデジタル化
- 退院時の支援は、情報共有が困難になっている。一度も患者さんにお会いできないまま、引き継ぐ形もある。
- ICTを活用し、本人がリハビリしている様子を動画撮影し、その様子を発信してもらえると良いと思うが、病院・在宅側、双方の体制整備が必要である。
- ICTの活用には苦手意識がある。なかなかデジタル化を取り入れることが困難。何度も何度も細かく連絡することを心がけている。
→デジタル化の重要性を理解し、その上で、今ある手段をフルに活用して上手く情報共有を行っていく。ICTの活用も試みる。
- 緊急災害への対応
- 実例をふまえ、実際に取り組まれている地域の話を聞いて、どのような問題があるのかを考えたらよいのではないか。
→実際に取り組まれている地域の話等を聞き情報収集し、BCP作成にも役立てていく。情報を集めその都度、会議で報告・共有してく。
- 認知症の方への支援、服薬管理
- 服薬管理について、1週間に1~2回の訪問になると人の目がない分、飲みすぎ飲み忘れがあり、管理の難しさを感じている。
- 地域の社会資源(インフォーマル含め)を利用し、見守り支援を行っていくことも検討する必要がある。
- 薬を一包化する前に、減らすことも考える必要がある。飲んだほうがいい薬なのか、飲まなければならない薬なのか。それを医師と確認していく必要がある。
→居宅療養管理指導での薬剤師の役割、また各職種で取り組めることの再検討等、支援者間で適宜協議していく。
- 介護支援専門員への負担
コロナ禍で家族が遠方にいる場合や、障害や生活保護等、制度がまたがっている場合の支援に難しさがある。
→地域包括支援センターの協力が不可欠。(包括的継続的ケアマネジャーの支援業務)
- 令和2年度の取り組み
令和元年度では、これまでの多職種連携会議で実施してきた取組みを具体的に評価するため、「むなかた地域の医療と介護における連携の現状を把握するためのアンケート調査」を実施しました。
その結果をふまえ、多職種連携ツールの見直しを行うことになりました。
- 昨年度のアンケート結果及び実際に委員が活用する中で、改善したほうがよい点などを整理。(内容や対象者等)
- 多職種連携ツール改訂版を完成させる。
- 改訂版を各団体や事業所に普及啓発する。
- 多職種連携ツールの具体的改訂内容
- ツールを活用する多職種、関係事業所の範囲の見直し
※現在、ツールを活用する多職種・関係事業所
訪問診療を行っている医師・歯科医師・薬剤師・介護支援専門員
介護保険サービス事業所、地域包括支援センター
→医師、病院(地域医療連携室)にも活用してもらえるよう改善する。
- 基本情報入力フォームの追加
パソコンから直接入力しやすいように修正。
- 実際の活用例の作成
- 普及啓発について
コロナ禍により、対面での啓発が困難であるため、まずはツールを全事業所に配布。
各委員も、工夫しながらできる方法で周知していきます。
- 令和元年度の取り組み
平成30年度までは、課題に対する解決策を具体的にするための取り組みを実施してきました。
そこで今年度は、これまでに実施してきた取り組みを具体的に評価していくため、むなかた地域の多職種を対象にアンケート調査実施します 。
- 調査の目的
- これまでの多職種連携会議で実施してきた取り組みを具体的に評価する
平成28年度に多職種の課題としてあげられた「支援者間の連携不足」を解決するためにつくられた「サービス担当者会議の留意事項」や「多職種連携ツール」が、どれほど多職種の皆さんに周知でき、活用できているか等。
- むなかた地域の多職種連携状況の把握
会議実施から3年が経過する中、地域の多職種の連携状況を把握する。
- 調査対象
宗像市・福津市の多職種
(医療機関、介護保険サービス事業所、地域包括支援センター)
- 調査方法
各事業所の管理者宛に、調査票3部を送付。職員に調査票の記入を依頼。
(調査票の回答は、管理者及び職員が実施する。)
事業所の管理者が調査票と送付票を併せて返送。
- 調査票提出について
(1)回答期限 令和元年11月29日(金)
(2)提出方法 FAXまたは郵送
(3)提出先 宗像医師会在宅医療連携拠点事業室(むーみんネット)
宗像市田熊5丁目5-1
TEL:0940-37-5020 FAX:0940-37-5021
アンケート調査結果報告
- 多職種連携ツールの作成
- 多職種連携ツール作成ワーキンググループ会議
ツール作成のためのワーキンググループを結成しました。
多職種連携ツール案(多職種連絡シート、在宅用共用ファイル)及び、活用に向けての留意事項(手順書)について協議を実施。また、各委員がツールを実際に試用して、不具合等がないかチェックする期間を設けました。試用結果をふまえ、最終修正を行いツールが完成しました。
- 多職種連携会議にフォードバックし、実際の活用に向けて多職種の方に普及・啓発を実施しました。
- 多職種連携上の課題「入退院支援」について具体的解決策の検討
平成28年度当初の退院支援の課題と、地域医療連携室等職員連絡会の中で出された「病院と介護支援専門員の連携上の課題」をふまえ、具体的解決策を検討した結果、具体的取り組み提案として、「病院機能の見える化シートの作成」、「宗像・福津エリア退院支援の流れ」の活用があげられました。
そこで、「病院・有床診療所の入退院支援連携窓口の見える化シート」のたたき台を作成し、活用に向け各団体へ意見を求めました。
- 「入退院支援」について具体的解決策の検討からみえてきたこと
その1:連携の際の窓口は見えている
- 地域医療連携室等職員連絡会からの意見介護支援専門員等との連携は概ねできており、介護支援専門員も病院の連携窓口は知っているのではないか。
- 介護支援専門員からの意見
平成28年度当初は、「病院の窓口がわからない」といった課題があげられていたが、この3年間の間で随分連携がすすんだ。制度上、連携しないと加算も取れない状況になっている。
その2:「宗像市・福津市医療・介護情報資源ガイド」がうまく活用できればよいのではないか。
上記意見をふまえ、新たに見える化シートを作成するより、資源ガイドを活用したほうが良いのではないかとの意見で、全委員一致しました。
- 3年間を通して
平成28年度当初に出された課題に対する解決策を具体的にするための取り組みを実施してきました。
平成30年度は、課題として残されていた「入退院支援の連携」に対し、見える化シートを作成する方向で進めていましたが、結果的に3年前の状況とは違っており、シート作成の必要までには至りませんでした。
この課題については、福岡県在宅医療提供体制充実強化事業の中で、引き続き取り組んでいく予定です。
このことより、平成28年度当初からの取り組みは、一旦終了となります。
- 今後に向けて
これまでに実施してきた取り組みを評価していきます。その中で、新たな課題があれば、その課題解決に向けた取り組みを実施していく予定です。
また、各職種で課題としてあげられる事項があれば、会議の中でその都度取り上げていく予定です。
- サービス担当者会議の現状を把握するための調査実施
「サービス担当者会議の現状を把握するための調査」を介護支援専門員、地域包括支援センター職員対象に実施しました。
そこからやはり、サービス担当者会議が効果的に行われていなかった実態が見えてきました。また、介護支援専門員の困難感や多職種への要望等も明確になりました。(調査結果については、別紙参照)
- サービス担当者会議に関する研修会
多職種を対象に研修会を実施しました。介護支援専門員対象の調査結果をふまえ、「サービス担当者会議」について理解を深めるための講義や、地域リーダーによる模擬担当者会議を実施し、多職種が専門職としてどのように関われるのか、専門職としての役割等について協議を行いました
- より具体的な解決策へ
多職種から出された課題に対する解決策案は、前年度から協議していましたが、今年度実施した「サービス担当者会議」に関する調査や多職種を対象とした研修会を実施したことで、より具体的な解決策案が各委員から提示され、次の3つが導き出されました。
案1 サービス担当者会議に伴う留意事項の作成
案2 情報ツールの作成(各職種で情報収集・提供するためのツール)
(支援に関わる多職種で情報を共有するためのツール)
案3 スキルアップ(多職種全体、個々の職種、各事業所)
- サービス担当者会議に伴う留意事項の作成
多職種連携上の課題に対する解決策案として、上記案1から案3でよいか、各団体に持ち帰って意見を求めました。
その結果、「サービス担当者会議に伴う留意事項」と「情報ツール」の作成を行い、多職種全体で活用していこうということになりました。
- 次年度に向けて
「情報ツール」については、実際の活用に伴いマニュアル等詳細事項を検討する必要があるため、次年度引き続いて作成いたします。
- 課題の抽出
各団体から多職種連携上での課題について意見をあげてもらい、それをカテゴリーごとに整理しました。その結果、「支援者間の連携不足」、「退院支援」、「急変時の対応」、「社会資源の不足」、「制度の理解不足」の5つに分類することができました。
- 課題解決のための対応策検討
カテゴリーに分類された5つの課題に対し、各団体から「課題を解決するために取り組めること」、また、その「対策案」について意見を抽出しました。
その結果、各団体から圧倒的に多くあげられたものは「支援者間の連携不足」であり、解決策として、各団体から共通した意見は「サービス担当者会議は、関係者が集合できる唯一の場であり、それを有効的に活用することが一番望ましいのではないか」ということでした。
- サービス担当者会議の効果的要件
効果的にサービス担当者会議が行われるためにどうしたらよいか。どのようなことに留意して、今後取り組めばよいかを委員で協議し「サービス担当者会議の効果的要件(あるべき姿)」を提示しました。
そこから「まずはサービス担当者会議の現状を把握する必要があるのではないか」ということが導き出されました。